興奮が冷めやまぬうちに記録しておきたい名店がある。郡山駅から徒歩7分ほどのところに店を構える「元祖肉処 源氏」だ。
2023年の食べログ百名店 洋食部門に選出されるなど、その味は確かであるが意外と混まない隠れた名店である。
とにかくここのポークソテーは誇張なしで死ぬまでに食べておきたい1品。
今回はそんな「元祖肉処 源氏」を食レポしていこう。
“洋食”で思い浮かべるのはオムライスやハンバーグ、エビフライなどだろうか。昭和感漂う喫茶店で食べるナポリタンもいい。今の季節にはシチューなんかも最高だ。
食べログ百名店にはこれらの定番洋食以外にも「ポークステーキ」がランクインしている。ざっと確認するだけでも2023年は4店舗がポークソテーやそれに近しいものを名物としている。
決してポークソテーが定番から外れた邪道洋食だということを伝えたいのではなく、洋食を食べたい時、頭に浮かぶものは先述したような物だろう。少なくとも筆者はそうであった。
しかし、今回の記事を読み終わる頃には洋食=ポークソテーに置き換わるだろう。それくらいもっと”洋食感”のあるメニューとして親しまれてほしい。
どういう基準で画像が選出されているのかわからないが、2020年の画像はオムライスが多め。
それに対して2023年はややポークステーキ派閥がオムライスを淘汰しトップ2を飾っている。
これからは洋食=ポークステーキの時代が来るだろう。
最高のポークソテーは郡山に
筆者がここまでのポークステーキ過激派となったのには、様々な過程がある。
仕事で地方に出張する傍ら、その場その場での美味しいお店を食べ歩いているが、あまり栄えてない地域の場合は飲食店も限られてくる。
毎食のようにラーメンを食べるのは気が引けるし、わざわざ出張先でチェーン店に行くのも…
と思っていた矢先に思いついたのが「地元で愛されるレストランで食べるポークステーキ」だったのだ。
オムライスのみだとお腹が膨れない、フライ系も胃袋がしんどいし、ステーキは高い。ならポークステーキだ!と。
さらには味付けにバリエーションがあり、見た目も肉肉しくて良い。出張グルメに革命が起きたと思った。
日本人の現在の食文化において豚肉は非常に重要な存在だ。薄くスライスされたり煮たり焼いたり、しゃぶしゃぶされたり巻かれたり。衣をつけて姿を隠されたかと思えば、高温の油で揚げられ、いつもそばで見守ってくれるのはキャベツの千切りだけ。
そんな豚肉が素っ裸で堂々と鎮座するこのポークソテーこそ至高なのだ。
元祖肉処 源氏
この人生を変えてくれたポークソテーに敬意を表して向かった先が郡山にある「元祖肉処 源氏」だ。
先述した通り食べログ百名店2023洋食部門に選出されており、その味は確かだ。
店内はカウンター席のみで調理を担当する店主と、ホール業務を担当する奥さんであろう2人で店を切り盛りする。
メニューは至ってシンプル。名物のポークソテーに加えて焼きカツ、ハンバーグ、エビフライ。ポークソテーは味が5種類ありどれも絶品らしい。その日の気分に合わせることができる。お肉の種類はロースとひれだが、ロースの注文率のほうが高いように思えた。
今回は三昧焼(しょうゆ味)のロース(¥1,500)を注文。
1度に調理できる量が限られているため、時間には余裕を持っておいたほうが良い。筆者の場合は先客が2名おり、その調理を待ってからの提供だったので到着までに25分ほどかかった。
ポークソテーの最高峰
注文が入ると冷蔵庫から丸太のような肉塊を取り出し目分量でカットする。この時点で美味しいことを確定できるくらいのインパクトがあった。
調理風景は見えなかったが年季の入ったキッチンで店主がゆったりと焼き加減を確認する。熟練の技だ。
肉の焼ける音や煙、無駄な音がなく本当に調理しているのか不安になりながらもビールを飲みながらゆったりと到着までの時間を楽しむ。
ポークソテーの焼き上がりに合わせてご飯とサラダが到着。
筆者は不健康の塊なのでソースは黒ければ黒いだけ嬉しい。このビジュアルはマズいわけがない。
その予想も大当たりし、とにかく味付けが良い。醤油のしょっぱさと香ばしさが最大限に活かされている。さらに、これに負けないくらいの肉のポテンシャル。しっかりと火が通っているのに簡単に噛み切れるほどのしっとりとした肉質と、極上の醤油タレをまとった上質な脂身は箸が止まらなくなる。付け合わせのコーンとマッシュポテトも醤油タレを吸っていい箸休めになる。
あまりの美味しさに食事中も心臓がドキドキしていた。食べても食べても胃袋が空のままのような食欲にそそられる。
味、お店の空気感ともに最高のお店に出会ってしまった。このために郡山まで新幹線に乗るのも全然アリだ。
今、元祖肉処 源氏のポークソテーを食べることができた幸福感で生きている。
コメント